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ドン・キホーテの躍進

2024年8月19日


草創期からマークはしていたが、まさかここまで来るとは正直驚いている。ある意味ユニクロ以上の急成長と言える。「ドン・キホーテ」のホールディング会社、PPIH(パンパシフィックホールディングス)は今や年商2兆円を超える日本有数の小売り業になった。日本はもとよりアジア6か国・地域に45店舗を持ち、ホテルや不動産業などを多角的に経営する企業体にのしあがった。創業者安田隆夫氏が自ら起業、西荻窪駅近くの泥棒市場という名のディスカウントストア(まあ実態は闇市だった)から身を起こし、長崎屋やアピタ(ユニー)といったスーパーを傘下に収め、気が付けば海外にまで展開するビッグビジネスになっていた。


「ドン・キホーテ」の品ぞろえはここにきて食品、なかでも生鮮品の取り扱いが増えている。これはスーパーを買収したことによるメリットだ。とくにシンガポールの店では食品の売り上げ割合が9割を占める。日本の菓子や調味料なども積極的に扱い、日本に行ったことがある人の継続購買を促しているし、「いつか日本に行ったらドンキに寄ってほしい」というメッセージにもなっている。実際シンガポールでの「ドン・キホーテ」の人気は絶大だ。進出から5年足らずで12店舗まで拡大、在留日本人のみならず現地のシンガポール人の間でも歓迎され、刺し身や寿司、そして日本の果物などがよく売れているという。海外の「ドン・キホーテ」の特徴は現地化を徹底していることだ。従業員のほとんどは地元の人で店長以下仕入れから陳列、価格設定までローカル性を重視する。創業者の安田隆夫氏が2015年にシンガポールに移住した際に、現地の日本食品の高さに驚いたことから、この方針を徹底したという。2030年までに海外の売り上げを1兆円まで増やす目標を掲げている。


「ドン・キホーテ」の販売商品は食品以外にも家電から衣類、ドラッグ用品など様々なジャンルに及ぶ、独特の目立ち、長いフレーズのPOPで客の興味をそそる販売手法はあらゆる商品を雑貨的に扱うところに特徴がある。整然としていないことこそオリジナリティある販売手法である、ということだ。百貨店やスーパーと言ったこれまでのビジネスモデルとは対極にある「混沌の泉から湧き出てくるような商品構成」を魅力に変えたことが成功の秘密だろう。


日本人だけでなく外国人からの支持を受けて、日本最大の小売業グループになることも夢ではなくなってきた。