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★働き方改革の現実  西村晃

2021年6月19日

金曜日夕方、場合によって夜、メールやFAXが来る。
「週明けまでにお願いします」

本人たちは無意識なのか意識しているのか、あるいは上司の指令かはともかく
大企業が、中小下請け・フリーの人に仕事を依頼するいつものパターンだ。
これが一番効率がいいのだろう。
金曜日に残業してでも発注をかけ、自分が土日休んでいる間にやっておいてもらい、月曜日仕事始めに頼んでおいたことができている。
雑誌などの原稿の校正やデザインレイアウト、印刷や製本などはこうした事例の典型だ。
もっともこれは日本だけではないらしい。
アメリカで、年中無休24時間営業で印刷製本などをする「キンコーズ」が脚光を浴びたころ取材に行ったら「お客様は夜に発注して明日の朝までといったご注文が多いので、24時間休みなしにビジネスチャンスがあると思いました」と創業者が語っていた。
ただ「キンコーズ」ならシフト勤務で深夜の人材も確保するだろうが、一般の中小下請けやフリーランスの人はこれでは休む間がなくなる。
それでもお仕事欲しさに涙を呑むしかない。

愛知県のある大手の自動車メーカーの工場近くのコンビニは昔から巨大な駐車場完備で知られている。最終組み立てメーカーに部品供給する会社の輸送トラックが、工場周辺で搬入時刻を待っているのだ。
「カンバン方式」で組み立てメーカーは在庫を抱えずジャストインタイムで部品供給を希望する。大手の要求に下請け孫請けは応じざるを得ない。
こうした大企業本位の体質がなくならない限り、「働き方改革」は大企業だけの話に終わるだろう。