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★ 投稿西村晃 ★これからの日本
2021年9月 6日
首相退陣表明を受けて、日経平均株価はあく抜けしたように急上昇した。
誰が次の内閣を率いるのかまだわからないが、首相辞任で閉塞状況が吹っ切れるのではという局面転換への期待が大きいことが裏付けられた。
とはいえ、現実の日本経済の状況はかなり厳しい。
いち早くコロナ危機から脱した米中を中心に輸出を伸ばした製造業では業績を向上させた企業が目立つが、その米中も再びコロナ変異株の感染により景気の先行きに不安が出てきている。また半導体の不足に加えてアジア各国の感染拡大で部品調達がままならないアッセンブル企業が相次いで操業の停止に追い込まれている。
また長期的に見ても、これまで日本経済をけん引してきた自動車業界が急速なEV市場の拡大に対応できるか、という不安が払しょくできていない。
一方小売り・サービス業は相変わらず厳しい状況が続く。唯一の活路と外食はデリバリー、小売りはネット販売に活路を求めるが、店舗での営業を補うには物足りないし、それで雇用を守れるか心もとない。
新政権がコロナ対策にどれだけ財政支出をするか、また3回目のワクチンを迅速に無償で国民に提供して初めて来年春以降に経済は落ち着きを取り戻すとみられる。
来年の春ですでにコロナ感染が襲ってからまる2年、そこから経済はようやく動き出す。
しかし、すべての産業がコロナ前の水準を回復するのにさらに2年、国民がマスクをはずし外食や旅行を楽しむようになるまでには、結局最初から数えて全治5年という私の当初からの見立ては間違っていないと思う。
ただ5年が経過しても、本当の意味でコロナ前の経済が戻ってくるわけではない。
この5年の間に団塊の世代がほぼ全員後期高齢者となっている。これはこの国から実質消費者が800万人近く減少することを意味する。またコロナ前年間3000万人来ていた外国人観光客が元に戻るにはまだしばらく時間がかかるだろう。
コロナ後の現実は日本の消費社会の縮小である。
接待や出張といった市場はおそらく大きく縮小したままであると思われる。
テレワークの普及、冠婚葬祭の簡素化などコロナを機会に始まった社会の変化が以前に戻るとは思えない。
新しい需要を創出する提案力のない会社は、生き残れまい。
また狭い日本市場に固執せず、海外に活路を求める決断も必要になるだろう。
いずれにしても、コロナ前に戻れば、という安直な気持ちでは生き残れないことだけは間違いないはずである。