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投稿西村晃 ★終身雇用制の崩壊

2021年9月14日

私の大学の卒論は日本的経営論。
終身雇用制、年功序列型賃金を中心とする労働環境を日本的経営と呼び、戦後の日本の高度成長に果たした役割を肯定的にとらえる考え方が主流だった。
大学を出て就職すると、私の時代の定年は55歳だった。
その後60歳、65歳と延長され、今日に至る。
ただ最近では大きく考え方が変わってきた。
早く辞めて転職したり独立する人ほど能力が高く、定年まで会社にしがみついている人ほどそれができない人であるという見方が増えている。
以前は会社が福利厚生を充実させ、長くいることがトクだと思わせる仕掛けをしていた。住宅購入でも社員融資制度は銀行よりも好条件だった。だから住宅ローンを人質に社員を辞めさせないようにするという会社側の囲い込みも成立したわけだ。


いま雇用環境はコロナ禍で大きく変わろうとしている。
財界の首脳からは「45歳定年制度」という意見も出された。「定年を45歳にすれば、30代、20代でみんな勉強するんですよ。自分の人生を自分で考えるようになる」
これまでも「最低賃金大幅引き上げ」などで世の中の議論をかき混ぜる役割を担ってきたサントリーホールディングス新浪剛史社長はこう提案した。 日本を眠れる獅子のまま終わるわけにいかない、そのためには成長産業への人材移動が必要。企業の新陳代謝を高めるためには、雇用市場は従来モデルから脱却しなくてはいけない。その一環として定年退職の年齢を45歳に引き下げる、個人は会社に頼らない、そういう仕組みが必要だ、と力説した。その上で今の社会では転職のチャンスも十分あるとの見方を示した。
40代以上を対象とした退職の募集はすでに始まっている。東武百貨店では6月に40歳から64歳の従業員750人を対象に希望退職を呼びかけたところ、約4分の1が応じたという。東武百貨店は退職者募集の理由について、従業員の構成が40歳以上が多く、人件費のコストが高い構造となっていたため、これを是正し、来年度以降の黒字化を目指すためだとしている。 これは東武百貨店特有の話ではない。会社側から想定より早い年齢での退職をいきなり提示される「早期退職の呼びかけ」は2019年から急拡大している。 この動きが進むと40代、50代で転職を選ぶ人は増えていきそうだ。会社におんぶにだっこという姿勢は好むと好まざるとにかかわらず限界に来ている。コロナ後テレワークなどにより帰属意識が薄れ、副業解禁なども進むと人材の流動化はますます加速しそうだ。